故郷
吉幾三が「津軽」という全編津軽弁の曲を配信し、後発としてこの度DVDを発売するそうである。(した?)
若き日「おら東京さ行くだ」と歌った人が恐らく字幕が無ければ殆ど意味が分からないであろう津軽弁で、去って故郷を顧みない子供達にラップで語りかける。
帰って顔を見せろ。
親は老いてあと何年生きられるだろう。
手土産もなく来ても親はなんらかのものを持たせて帰す。
どこで何をしているのだ。
馬鹿者が。
帰らなければ化けて出てやる。
帰って来い。
血を吐くような心の叫びに聴こえる。
夫は同じ年齢のこの人の歌を昔から好んで聴いていた。車でドライブ旅行となれば、車内にはいつもこの人のこぶしの効いた演歌が流れ、娘たちは高くてヒヨコのようなピヨピヨした声でこぶしを真似、
「わかるかなあ~. 酒よ~」とか
「好きよ~ あなた~」
などと唱和していたものだ。
自分は故郷を捨てられない、捨てられないどころか歳を取るほどに故郷は自分の中で色濃くなっていく。どうか子供達よ、故郷で土地を守り、生きている親を自分の中に流れる津軽の血を疎かにせず、帰ってくれと吉幾三は叫ぶのだ。
私は私の中に紛れも無い東北人の血を感じている。それでこの曲に心を打たれるのだろうかと思ったが、江戸っ子の夫も元々ファンだったというのも勿論あるからだろうが、しみじみと聴き入って、あれっ、涙?
あなたの故郷はどこですか。