もうすぐ70歳の老後
あと一年で個人年金の給付が終わる。
生活費が公的年金+預金からの持ち出し分だけになる。もう少し節約を心がけるべきだろうと思ったある日。
贅沢をしているわけではない。けれど無駄な部分は削るべきだろう。家計簿を持ち出して、レシートとにらめっこを始めた私に夫の一言。
「何してるの?ここへきて食費の節約?いいんじゃないの、もう」
今や楽しみは食べることだけ。趣味は体力気力が追いつかず、手仕舞い、或いは放置。
美味しいものを美味しく食べるのが楽しみと言えば楽しみ。
何のための節約か。明日どうなるかわからない(今日また夫が自治会でご一緒の方の入院の電話を受けた。ふたりめ)
老残の身で、残された楽しみを削ることもなかろうと夫は視線をテレビからそらさぬまま、そう言外に言っている。
私は家計簿を閉じた。
昨日2階の自室で戸を放ち、ひだまりに座椅子をのべて好きな本を読んでいる夫の幸せそうだったことと言ったら。
一人で達観しちゃったの?
ま、いいですけど。
90、100まで生きたらどうするんだろう。問いかける前に
「その時はその時で考える。今からあれこれ心配する必要無し」
という夫の答えが聞こえる。
これは現実を見据えた上か、現実逃避か。ん?現実とは何か、夫と私の現実というものの捉え方がそもそも違う?
確かに現実は準備していても、何らかの力でひっくり返る。
だから?でもなー。
もう一度、「ま、いっか」
今日ある幸せを見つけよう。生きるとするか。