今日から

日々を綴る

ペット

うちには二匹のペットがいる。

一匹は、その名を「きんと」という。朱分金である。

三代目かな。四代目かも。庭の隅の水遣りポリバケツに住んで、たっぷりの雨水の中で悠々と泳いでいる。


二代目の頃だと思うが、一匹では寂しかろうと後からもう一匹入れたら、それが病気だったらしく二匹とも死んでしまった。その反省からその後からこのバケツの住民は一匹限定になった。

バケツにはボウフラが湧くので、きんとはこれをパクパク食べるという大変良い仕事をしてくれている。


バケツはリビングの窓に近いので、朝雨戸を開けると、プカ~っと水面に浮かんでくる。餌をくれると思うのだろうか。

金魚は学習するのか?初めてそれを見た時は驚いたが、条件反射なのだろう。

表にいて人影に反応して頭を出したりもする。


夫は「きんちゃーん、ご飯だよー」とニッコニコして呼びかける。

えええええ~。

「お父さん、声大きいから。」

10歳近い三代目は夫の呼びかけに応え、浮かんで来て餌を食べる。パクッ。


この前の代のきんとは15年生きた。

最後の年、泳ぎがゆっくりになり、ある日姿を見せなくなった。

「死んじゃったの?浮かんで来ないの?」と夫に何度も聞いた。

夫はおっとりと「そうだねえ。浮かんで来ないねえ」

と言う。


数日後、夫が網で掬うと少しトロッとしたキンちゃんが底の方にいた。きんとの亡骸は庭の松の木の下に埋められた。


そう、私はこの生き物との別れが嫌なのだ。腕に抱くことがない金魚にしてこうなのだ。ジャーマンシェパードを飼っていた知り合いは、「頭が良くて、私が悲しくて涙を流していると、そっと舐めてくれるんですよ」と言っていた。

ん?コリーだったかな。とにかく大型犬。


えええええ~。

耐えられません。そんな優しさを失ったら。

だから飼っても金魚未満。条件反射未満。これ絶対。

もう一匹のペットについては次回。