「時代」
中島みゆきがギターを抱えて舞台に立ち、「時代」というこの名曲を歌ったのはいつだっただろうか。
ヤマハ・ポプコンの舞台にジージャンを着てにこやかに現れた中島みゆきは、迫力のあるアルトでこの歌を歌い上げた。
初めて聴いたその時から40年近い年月が流れた。
今はこんなに悲しくて涙も枯れ果てて
もう二度と笑顔にはなれそうもないけ ど
そんな時代もあったねといつか笑って 話せるわ
まわるまわるよ時代はまわる
喜びかなしみくりかえし
何という老成、何という才能。
20代の中島みゆきはあの若さで人生の「時代」を看破し、他の歌手を圧倒してグランプリを獲った。
私の40年の人生もまた、振り返ってみればちっぽけではあるが喜びと悲しみを繰り返し、時に自分を見失い、時に喜びの涙に暮れて、気づいたらあんな時代もそんな時代も終わっていた。
こんなこともあるわよ、と清々しく風に吹かれることなどという時代があっただろうか。いつもいっぱいいっぱいで。
60の峠を越えて、この歌を口ずさむとこみ上げて来るものがある。
ちょっとだけどね。
だってやり直せないし、なんかどっかでコーナーまちがっちゃったかなあって思うけど、ま、こんなもんだわ。
私の「時代」は。