才能
池松壮亮という俳優を初めて見たのはいつのことだっただろうか。
「セトウツミ」。
河原?に二人の高校生が座ってしゃべるというだけの映画だった。
池松壮亮と相手は菅田将暉。
菅田将暉もこの映画で知った。
見終わって菅田将暉の方が印象に残った。いきのいい清潔感のある子鹿のような青年。それからしばらく「さて今日は映画を見よう」という日は菅田将暉主演のものを探していたような気がする。
そしてずいぶん経ってから「そういえば相手役は誰だっただろう」
と思い出して、今やその相手役だった人の凄さに魅了されている。
華のあるなしで言えば菅田に軍配が上がると感じていた。しかしいぶし銀と言うほどの年齢ではないけれども、何作か観ていくと内側からの光が見えてくる。
俳優はミステリアスな雰囲気をまとい、ある種の狂気に似たものを持って演じる人たちだと思っている。松田優作、太地喜和子。今思いつくのは二人だけだけれど(何せ人の名前が思い出せない)、この人たちの凄みのある演技につながるものを池松壮亮は持っていると思った。
小栗旬や菅田将暉のような挑みかかるような目力ではない、暗く悲しみを帯びたようなそれでいて強い眼光。
今日は「金と銀」というドラマを見ていた。満足満足。本、それもフィクションが読めなくなった。脳の手術をしてから特に。腰が痛い、歩けない、肩が痛い、本は読めない。そんな日はテレビ。
海外のラブコメディーが、鬱々とした気分の時などはベストなのだが見つからない日は180度方向性を変えて重くて暗い気分の追いがつお、そこに池松壮亮。
植物で言えば苔、じゃがいもで言えばメイクイン、卵料理で言えばだし巻き卵。
追いがつおから変な方向に。ファンに叱られそう。失礼しました。とにかく素晴らしい俳優です。
あ、明日は訪問リハビリ。寝なくちゃ。