今日から

日々を綴る

誇りを持って仕事をするということ

「大丈夫ですか」とその薬剤師は尋ねた。新しいシップ薬が出たときのこと。

長く使っていた湿布薬にかぶれるようになった。それで 主治医に違うものをお願いしたのだが、その人はこれは接触アレルギーを起こしますと言った。


私はずいぶん前になるが、光接触アレルギーでひどい目に遭っている。まだ元気だった頃、真夏の強い日差しの下で2時間芝刈機を回していた。足首に湿布をして。


翌日足首の周りをドーナツ状の大きな水ぶくれが発生した。ちょうどその日は娘を大学病院の皮膚科に連れて行く日で、診察室に入った途端、娘の主治医は「これはお母さんの方が大変だ」と言ってその場で診察を始め、いくつもの検査の結果、湿布の薬の中に含まれる成分が光に当たると強いアレルギーを起こしたということがわかったのだった。


話が横道にそれるが、最近ではこのアレルギー体質であることをまた思い出させられたことがある。

歯科でシリコンゴムのマウスピースをはめるように指示された。  

ラテックスアレルギーは有名であるけれどもシリコンゴムのアレルギーはあまり聞かない。しかし1週間もすると口の中が舌を噛み切りたくなるほどの痒みでとてもはめていられない。歯科の医師は、我慢して嵌めるか噛み締めによって歯がボロボロになるかどちらかですねと言った(!)。結局このシリコンゴムのマウスピースは諦めることになった。

人よりアレルギーを起こしやすい体質だと言うことが言えるのだろう。


話を戻すが、薬の危険性をその薬剤師はきちんと指摘してくれたのである。

また別のときには、便秘改善薬について「これは今までと違い、腎臓からの水分は使って便を柔らかくします。ですから腎臓に負担がかかります。」と。


1日がかりの大学病院の受診後である。山ほどの薬を前に一つ一つ丁寧に説明をする。疲労困憊の病人には正直最初きつかった。しかし今やその生真面目で誠実な姿勢は、薬の怖さを知悉し、患者を守ろうと言う気概を十分に感じさせるものである。ありがたい。


副作用、飲み合わせ、アレルギーと、薬は諸刃の刃である。充分すぎるほどの説明の後でその人は「長いお時間をいただいて申し訳ございませんでした」と言って私たちを送り出す。


感謝を込めてその細くて美しい薬剤師さんに「砂漠に光る1粒のダイヤ」という言葉を。