眠れない夜に 再び
思い起こせばこのブログを始めたのは1年半ほど前の「眠れない夜に」であったか。
そして今日もまた2時間眠った後パッチリと目が覚め、眠れない。
天井の明かりは暗くはなっているがつけっぱなし。テレビもつけっぱなし。またやっちゃった。
腰が痛い。あっちは向いたりこっちを向いたり。
ワインを飲んでみよう。
腰を温めてみてはどうか。
あちこち動いたせいで目はどんどん冴えてくる。
やおら万年筆を取り出しノートに短歌など書いてみる。
もはやこの時点で眠ることを半分諦めている。
エアコンが冷えすぎているような気がする。
窓を開ける。
風の音を「どどう」と表現したのは宮沢賢治だったか。
どどう、ガタガタ、ちょんちょん。
風の音と雨戸の鳴る音、虫の声に耳をすませながら朝まで眠れたらいいのに。
いけない。モヤモヤと嫌な感情が浮かんで来た。
「せっかくここまで来たのに」と夫はため息をついた。3年間、2つの部屋を占領している家を出た娘の荷物をどうしても片付けたくて、写真を送って取捨選択して欲しいとメールした。
そして喧嘩になった。いや正確には喧嘩ではなく、忙しくて行けないからレンタルルームに預けてくれと。先日自分にくれると言ったお金で。娘はそう言って来た。
了解。
「ふざけるな」を飲み込んで、黙々と大量の荷物を1部屋に押し込んだ。
その時の苦い作業を思い出し、さらに眠れない。
毒親と言う言葉が使われるようになって久しく、娘はその言葉を使わなかったけれど、おそらく私をそれに当てはめているのだろう。
夫はそのカテゴライズに全く関心を示さない。
娘は家を出る時、父親と母親両方に牙をむいた。ところが今、父親とはメールでカマキリの話なんかしている。
夫がため息まじりに失望の声をあげるのも無理は無い。少しずつ少しずつ娘の心は和らいでいたのに、私の器の小ささが娘を遠ざけた。荷物のことで互いのかさぶたを剥がしてしまったというわけだ。
お互いに許し合ってはいないことが露呈し、けれどなんだか変に諦めがついてしまった。
「母さんは毒親なんかじゃないよ。」夫がそう言った。そうそう、そう言ってくこれたんだった。嫌なもやもやから脱出できそう…と思い始めた頃雨が降りだした。
いいな。雨の音。
今一度、明るくなる前に目を閉じてみようか。