今日から

日々を綴る

雨冠に月

父方の曽祖母の名前が雨冠に月と書いて「よう」だと知ったのは数年前のこと。今はもう使われていない漢字で、意味は「おおぞら」。

東北の寒村で、嫁いで祖父を産み、結核で離縁されて実家に戻り間もなく亡くなった。連れ合いだった曽祖父も後を追うように亡くなり、祖父は一人っ子で家系を繋いだ。

ようは、離縁されたのが20歳。戸籍ではそこまでしか辿れない。その後のことは叔母から教えてもらったこと。

祖父は1歳だった。


叔母からは「よい」という名だったと聞いていた。だから宵って随分哀しげな名前だなあとその運命と重ね合わせていたけれど、従姉妹が祖父が遺していた山の相続放棄の件で駆け回り、ひと段落して送って来た書類から正しい名前が分かった。

「よう」の字義を知り、気持ちがぱあっと晴れた。


素敵な名前を付けてもらっていたのね、

ようさん。

私と同じ誕生日の、薄幸のひと。