今日から

日々を綴る

ハグをはぐらかす

相変わらずYouTubeで人生相談を聴いている。夫とうまくいかないと言ってきた60代の女性相談者に、勝野洋が「抱擁してください。私は妻とそうします。ぜひお勧めします」と言った。


深刻そうな相談を終えて、回答者の後の付け足しとして柔らかな声でかけられた言葉だった。


相談者が一歩下がったような、身を反らせたような、照れたような声音で「えっ」と言った。

それはそうだろう。


最近よくTVで人が会った時、ハグをする様子がうつされる。違和感がある。昭和の人間は人と会ったときにハグはしなかった。手も握らなかった。おじぎ。(ではなかっただろうか。)


習慣的に自然にハグをする夫婦って何%?円グラフで言うと角度何度?ワンホールのチーズケーキにするときっと倒れる角度だと思うけど。


勝野洋の柔らかな声で「おはよう」なんて言われてハグ…ですか〜。ないわ〜。

もはや妄想の世界に突入ですね。


というわけで冗談はともかく、少なくとも我々夫婦にハグは無い。けれども、末に頼らなければ歩けなくなって夫の手を借りる時はある。


夫が腕を曲げて私はそれにつかまるというのが多いが、時々手と手を握り合うことがある。

束の間暖かいものが流れるような気がするのは確か。


家事の大部分をやってもらうようになって、負い目、引け目から抜け出すまで長い時間がかかった。こんな身体でも生きているだけで夫の支えになっていると思うようになって、夫の手を握り返すような強さで握れるようになった気がする。


でもやはりハグはハードルが高いなぁ。

大体最初はどういうシチュエーションで?

どんな隙を狙って? 隙をねらうって、刺客じゃあるまいし。

寝る前のすっぴん、白髪の老婆に突然抱きつかれるなんてそれ悪夢じゃない?


大きな夫に包まれるから優しいハグになる。いや、想像してたら逆にありえなさすぎて、あったら引くかもと思えてきた。


ま、いいか。

夫婦はそれぞれ。

あ、でも死ぬまでに一度トライして、なんちゃってと笑ってみようか。

勝野さん、やはり妄想の域ですよ、これ。