今日から

日々を綴る

定食屋で

半年ぶりの大学病院受診だった。

一日ががりの受診なので、今よりまだ歩けていたときにはお昼を食べに夫と周辺の美味しそうなお店に足を運んだ。


幾つかの店には、気に入って何度か通った。

その中に、メニューも豊富、病院からも近い定食屋さんがある。


いつも客が絶えず、献立にもこれで利益が上がるのだろうかと思われるような工夫が見られ、いいお店を見つけたよねと言いながら通ったものだ。


面白いのは、料理を運んでくる女将さんが大声で厨房の息子さんと旦那さんを叱り飛ばすことだ。


よく通る声で、注文されたものを一刻も早く正確に作るように喝を入れるのだが、客はそれほど急いではいない。

雷のように次から次と繰り出される叱責というか、怒りを含んだ声に苦笑いしながらおとなしく言われるままにしている男二人が気の毒になって来たりする。


初めは、これはネタか?と思った。面白すぎる。

でもその女将さん劇場はいつものことで役回りが決められているかのようにそれは繰り返され、やがてコスパ抜群の料理は静かに客の前に置かれるのだった。


それが、、

半年ぶりに入った店で出された料理は様変わりしていた。口にしながら、何が違うんだろう、と思い続けていた。


ほぼ無言で食べて、帰宅してから夫も同じ思いで食べていたと分かった。

「落ちたね」と夫が言った。

「客もいなかったし」


寂しい気持ちで同意するしかなかった。

コロナのせいで、店を維持していくには仕方がなかったのだろう。恐らく客は客は離れて行くだろうと思う。コロナが去るまで持ちこたえられるのだろうか。


そういえば、女将さんの怒声も少なく(ゼロでないのが救い、、、というのもおかしいが)、いつもの威勢の良さが欠けているように思われた。

次回の受診は四月。夫はきっともう一度行ってみようという気がする。どうか頑張っていてほしいと思っている。