リスのこころ
あちこちに物があるのが嫌いなので、とりあえず「どかす」。
どこへ?
忘れた。
これを自分で「リス的行動」と呼んでいる。
リスが冬支度のためにどんぐりをどこかに埋めてそれを忘れる。かわいいと言われる。忘れたことでそれが結果的に森の恵みになるとも言われる。
しかしながらばあさんは、あそこの隙間に入れちゃえ的な一瞬の思いつきによって場所を移したりするので、大概夫は「後で使おうと思っていたからそこに置いたのにぃ。」とか「なんで何でもなくなるかなぁ。」というやんわりとした或いはやんわりとしていない言葉を投げて来る。
そして私の行動を大体母さんはこう動くからなどとあたかもなんでも分かるぞとばかりに、あたかも探偵のような風情で指を刺したり辿ったりしながら想像し、最終的に「そこだな」と言って必ず見つけ出すのだ。
森の恵みになる前に。
小憎らしいが、ただ私もなくて困っちゃってることもあるので見つけて貰ってありがたい時もある。正直ね。
そしてリスは今どうしても隠したい物があるのだ。
玄関の白磁レリーフの花瓶の上に船のようにピンと反って乗っかっている使い捨てマスク。なんじゃこりゃ、とリス鼻膨らます。
リス: これは一体何?
森のクマ(うちに生息する大男の冬場の羽織ものはこげ茶の起毛): 宅急便が来た時直ぐつけるの。
リス脱力。