今日から

日々を綴る

今度はボディブロー

昨夜、「ラブアンドドラッグ」という映画を配信動画で観た。

アン・ハサウェイがパーキンソン病に罹った主人公を演じていると知って。

ノンフィクションでラブコメディというのも興味深かった。

観はじめて驚いた。ベッドシーンが刺激的で。

しかし、これは恋人同士が強く惹かれあっていく過程でのこと。


時折り指を震わす程度の病状は深刻さを欠くけれど、物語はPD患者でなくても他の難病、重病患者が共通して抱く恋人、配偶者への思いへと進んでいく。


「恋人はやがて出世するだろう、迷惑をかけるのは嫌だ」とアンハサウェイは別れようとする。

ここが肝である。切ない。


連れ合いを徐々に輝きを失っていくだけの自分の人生に巻き込んでしまう。

それが「一連托生」を選んだ結婚というものだと迷わず言える人がいるだろうか。瑕疵を負ったものは負い目を抱き、いじけ、一人勝手に傷ついていく。


美しすぎるアン・ハサウェイがその肝のところを悲しく演じていた。


同病の友人と「摘便」を夫にしてもらえるかというメール会話をしたことがある。予想通り彼女は自分は夫にはできるだろうが私はされたくないと語り、私も同様に考えた。

愛情、或いは情はこれに類するボーダーを越えられるかという現実。


映画は病気の恋人と生きることを決めたという取り敢えずのハッピーエンドを迎えるが。


もうアン・ハサウェイが美しすぎて、そりゃこんな人なら戻るでしょうよと思ってしまうのだけれど。黒目が大きいんですよね。泣いても怒っても笑っても、表情の全てが美しい。どれだけオーラを纏った女優なのだろうとしばし。


そしてエンドロールと共に、リアルな言葉が波のように押し寄せて来て、私の足元から身体全体を冷やしていく。患者会で妻を介護する夫がハサウェイの恋人にこんな言葉をぶつけたのだった。


「結婚していないのなら、別の健康な娘を探せ。俺は二度と嫌だ」


これね、ジャブどころでなく深く入ったボディブローのように効いて来るんですよ。ボクシングやったことないけど。