今日から

日々を綴る

あらま。

実は孫が産まれる時大変な経験をしました。そりゃもう大騒ぎで、娘は「あの時私は何回か死んだ」なんて言います。


妊娠7か月くらいでしたか腸閉塞を起こして、救急搬送。そして胎児が危なくはあるが、手術するしかないという医師の診断が下りました。

妊娠出産はどんなことが起きるか分からない一大事、大なり小なり何があっても不思議ではないと言えるかもしれません。

が、このあと数ヶ月で産まれる赤ん坊が入っている娘の「全身麻酔腹腔鏡手術、もしかしたら開腹手術」の説明に現れた執刀医の耳に複数のピアスの穴を見てしまったら、どんな心持ちになります?


小さな部屋でホワイトボード前に、キレの悪い口調で、結構尖ったヘアスタイルをした若き医師。若造。あんちゃん。(ランクどんどん落ちてく)

娘は横でハラハラと涙を流しています。

手術そのものも、あんちゃん(決定)も選択の余地なし。絶対絶命。


緊急手術となり、ストレッチャーに乗せられた娘は冷たい金属音と共に閉まった手術室に消えて行きました。夫は「ちょっと行って来る」と言ってコンビニのATMに行ってしまいました。


手術室の前で一人(娘の連れ合いは、まだ病院に到着していなかった)心細さにへたり込みそうになりながら、私は孫と娘が無事に戻って来ることを、ただそれだけを祈っていました。


と、入ってしばらくして古めかしく分厚い手術室のドアがガーッと左右に開き、そこから現れたのは手術服(ベンケーシー色!今でもあの色?)に身を包んだあのもっさりしたピアスのあんちゃんではなく、眼はキリリと別人のように光り、滑舌もピシッとエッジがきいた青年医師。


将来を嘱望されている若き青年医師は(誰?ピアスのあんちゃんって言ってたの)「腹腔鏡手術を開腹手術に変えます。同意頂きたい」ということを腕を上げたあのよくドラマなんかで見る姿勢で、爽やかに言った。


呆然として「お願いします」としか言えない、人の影に怯えて丸くなる小さな家グモのような私。

そして手術は無事成功し、孫は今あの大事な局面でコンビニに行っていたGさんと将棋なんぞ打ってる訳で。


もうね、ピアスの穴なんて耳のぐるりにあってもいいです。髪の毛立っててもモヒカンでも。


で、娘が退院して暫く経って言いました。◯◯先生ね、病室に私の様子見に来て、「よくがんばったね。」って私の

頭撫でたんだよ」


ちょっとーーー。どうなの、これ。

サーファーだそうです。松田翔太似でした。娘は親の私が言うのもナンですが美女です。


許さねー。確信犯。ひとたらし。ふんっ。65のすっぴん婆さんにも良い子良い子したら許したる!


なあんてね、先生ありがとうございました。感謝しています。心から。プロの眼、素敵でした。